電車と言えば路線変更ということになる。
風刺もの(と仮に言っておく)の難点/利点が3話ともなると効率よくジャンルムービーに消化されてみえる。サバイバルもの、家出もの、冒険もの、同居生活もの、寓話の国もの、・・・鉄道もの。
ライトノベルの感想として「思ったより遠くに行けなかった。」という表現をふと思いだす。遠くに行けなかった、とはその場合「作品がそこまで届かなかった」という失意の謂いなのだが。
高麗川を電車が渡る。窓から身を乗り出し、静留「あっちが秩父でしょ? ってことはこっちが池袋じゃん」。この場面にぞわぞわするものをおぼえる。それはこの電車が無人であることを外観のほうが伝えてしまうからの気がした。なかに3人と1匹はいる。しかし静留が指さし確認している状況を見せる絵は、風を切って進む電車をそう見せてはくれない。
木野日菜演じる東雲晶のしののめあきら感が強烈。これはあきらだわ。しののめだわ。
1話、旅立ちを決意した静留が教室に別れを告げに来る場面のBGMにわっと思う。辻林美穂が劇伴担当にクレジットがある。これは効いている。2話のあたかも70年代のTangerine Dreamのようなレトロでスペーシーな入り方などもそうで、全体的に音響面で音楽として魅力的でありつつ、ドラマに対しては異物感の組織化がすぐれている。
また主題歌"GA-TAN GO-TON"は、アニメのOPというものがおおまかに与える体感時間を、相対的に長い内容のものとして生きておりこの作品においてはそれがよく感じた。OP映像に対して、たとえば歌の強調ポイント(この映像には歌がこう盛り上がり「そう」という予断)がエディット操作によって非定型的に対応をしているせいだろうか。