panpanyaの「旅の本」合本の予約が始まった。サムネイルに、観光マップ鳥瞰図の表現が見えオッと思わされる。しばらく前に衿沢世衣子「ちづかマップ」において、吉田初三郎が大正時代に多く残した観光マップ図がフィーチャーされていたのを思いだした。

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吉田初三郎式鳥瞰図データベース(https://iiif.nichibun.ac.jp/YSD/)から1934年作成の大宮の図を引いてみよう。

右側に大宮駅周辺の土地が示され、道は左手奥に東京、横浜と続いていく。肝心は、大宮を対象とした密度の濃い縮尺と、「至東京」の間で、見かけの距離と実交通上の距離がいわばショートしている道のありかたであり、しかしそれでいながら一枚の絵のサイズのうちでなぜか同居できてしまっているこの感じだろう。この縮尺の狂いは、狂言でふたりの話者が話しながら旅をしている際に「そうこう話していると、どこそこに着いた」の「そうこう」に賄われる時空間の短絡にも似ているようでもあるし、やはりまた「絵」と「記号」の間の「図」(鈴木雅雄)という存在のおもしろさがあらためて感じられる部分でもある。