そのときはそのとき

風の又三郎」直筆原稿で子供たちの学年が箇所によって違ったり、「三年生」自体が学校にいたりいなかったりする問題について、天沢先生はその部分ではそう読んでおけばいいのですと言っている。これは私もたいへんお気に入りの見立てであるし完全に同意しかない。いいこと言うよアンタッ()

 次に「ちゃうはあかぐり」などと訳のわからない言葉を叫んで、嘉助がやってきます。これも正確です。嘉助の学年は、「九月一日」では四年生と見られますし、「九月二日」の章では明らかに五年生です(これも今はとりたててめくじら立てないことにしましょう。矛盾である、未整理箇所である、にはちがいないのですが、とにかく原稿ではこうなっている。私たちは「九月一日」を読んでいる間は嘉助は四年生なんだと思っていればいいし、「九月二日」を読んでいる間は、五年生なのか、と思っていればいいのです。私たちの頭は、そのくらいの融通はきくものです)

天沢退二郎『謎解き・風の又三郎』、丸善株式会社、1991年、p.39)