Say It Loud – I'm Black and I'm Proud?(JB, ?)

コロナ以前から二重三重に自己管理の責務を問われて道徳的に眉をひそめられる病があった。虫歯だ。その意味において虫歯に比べればコロナなど相変わらず雑魚だ。綿野恵太が最近そのポイントを突いている。階級問題は私からすると放置というモメントにある。放置の理由、放置せざるをえないことを追えばまた。

 

このことで、ピーナッツくんは以前Red Bull RASENにラッパーとして出場した際、マイクリレーのなかで

虫歯だから 歯が 真っ黒だぜ

という痛烈な一節を吐いていたが(非タフガイ的なしかたで言いだしにくいことを言うというアティテュード)、私はそれを思いだしている。

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teeth/black。そしてSay It Loudするにも口のなかを見せるはめになるのだ。「広島や卵食ふ時口ひらく」(西東三鬼、これは日記の題のblackと並んで二重に「悪い」引用だが)。着ぐるみのなかの暗さは真っ黒な歯という視覚的なダメージを「均す」のであり、ピカピカの白い歯を持つ善人を困らせる虫歯を放置し続けている者たちにマスクが期せずして与えた心情が取り上げられることも健全で道徳的な人間精神からはでてこなくて当然でもある。歯の痛みを哲学は伝統的に私秘的な一人称的経験の話のタネとして回収してきた。しかもそうすることで、歯の痛みにもれなくスーパーヴィーンするところの虫歯の相貌性、欠け、茶色い、真っ黒い、荒廃した石としての見た目、その恥、その悩み・・は手つかずにされてきた。